私の故郷ー広東・順徳

歴史と場所を知る

大学時代、故郷を離れて北部の大学に進学した私は、同級生に出身地を聞かれると誇らしげに「広東省出身です」と答えていました。まあ広東省出身であることは、私の広東語と北京語の発音を聞けばすぐにわかるんですけどね(笑)。

広東省に生まれることができたのは私にとって幸せなことだと思っています。

私が生まれたのは、広東省順徳市の大良というグルメの街です。大良を語るのに欠かせないのが双皮奶(広東式ミルクプリン)。小学生の頃、週末になると父がスクーターで清遠近くの有名なスイーツショップによく連れていってくれました。私はスクーターの前の方に座って、父の腕の中で、顔をなでる風と二人を照らす暖かな陽の光の感触を楽しんでいました。スイーツにわくわくして歌を歌ったり、木陰の小道を行ったり来たり歩いたり…。その時の胸躍る感覚は今でもはっきりと覚えています。

子供の頃の私は双皮奶にあまり興味がなかったのでいつもアイスクリーム(抹茶やチョコレートやバニラ)を注文していましたが、父は小豆をのせた双皮奶だったり姜撞奶(生姜牛乳プリン)を注文していました。大学に行って順徳の特産品だと知るまで、双皮奶がこんなに有名だなんて知らなかったんです。

今では順徳を旅行するときは必ずと言っていいほど「民信」というお店を利用しています。あまりにも有名なので、週末はおろか平日でも長蛇の列ができていて、席を確保するのが大変なお店です。

民信老舗
绿豆汤圆(緑豆と団子のスープ)
卤汁中鸡翅(手羽元)と芒果双皮奶(マンゴー牛乳プリン)
芒果椰汁西米露(マンゴーココナッツタピオカ)

子供の頃の思い出といえば毎日のおかずがほとんど同じだったこと(笑)。鯉の醤油蒸し、レタスのニンニク炒め、月に2回くらいの手羽先のコーラ煮…。特別好きなものばかり飽きずに食べていたせいで記憶が曖昧になってるのかもしれないですけどね。

家と学校は5分ほどの距離にありました。放課後、陸上部の練習が終わるとすでに18時、空は半分暗くなっているような時間でした。通学路にはガジュマルの木が両側にびっしりと植えられていて、それが車道の上の方までしっかりと覆って、まるで天然のトンネルのようになっていました。トンネルの中は家々の灯りで照らされ、さまざまなご飯の香りが漂ってきます。母と父がいつも家で食事を用意してくれていたので、私は部活が終わるとすぐに飛んで帰っていました。ランドセルにぶら下がった鍵がチャランチャランと鳴る音と、夕方のラッシュ時の車が流れる音が奏でる音楽は私の子供時代の記憶を彩っています。

2019年の冬、一度帰省して2週間だけ滞在しました。クリスマスやお正月の雰囲気の中で家族と素敵な時間を過ごしました。もちろん美味しいものもたくさん食べましたよ!

順徳はその名に惹かれて来る友人が多く、いつも「順徳で美味しいレストランは?」と聞かれますが、この質問をされると、いつも長いこと考えてしまいます。理由は2つ。1つ目は美味しかったところは全て両親に車で連れていってもらったところだったので、私はいつも途中で寝てしまってそこがどこなのかよくわからないから。2つ目はとにかく美味しい場所が多いから!です。有名なレストランにしても、知る人ぞ知るような小さな農家のお店にしてもそれぞれに持ち味があるので比べられません。

 

1枚目は打炉(南方の火鍋のこと)で、食材を直接水の中に入れるのではなく、下に熱湯を注ぎ、そこから上がってくる水蒸気の熱で調理するものです。

2枚目は皆さんも食べたことがあるであろう烧鸡(ローストチキン)。農場のお店で食べたので使われている食材も新鮮で、中はほろっと柔らかくて、皮の焼き加減もちょうどよく、噛むととてもカリッと香ばしく、烧烤の独特の香りが混ざってなんとも言えない美味しさです。

3枚目は蒸螃蟹(カニの蒸し焼き)。広東省は海に近いので、新鮮な魚介類がよく手に入ります。

4枚目の料理の名前はよく覚えていないのですが、はっきりと覚えているのは直径が40〜50cmもある大きな鍋に、写真のようにさまざまな海鮮、貝や海老、蟹などの魚介類が入っていたことです。時には魚を丸ごと入れることもあります。ほとんど火の通った状態でテーブルに持って来られて、店員さんが鍋に蓋をして、白酒(ビールだったかな)を鍋肌に回しかけ、ライターで火をつけます。完全に火が通ると、軽くお酒の香りがしてくるんです。

 順徳の料理は本当にバラエティに富んでいて素晴らしいです。左の写真は刺身ですが、日本の刺身とは違って淡水魚を使うので、どちらかというと生臭く、食べ慣れていない人も多いと思います。いつもだいたいピーナッツオイルをかけて、ごまやピーナッツをかけたり、好みでいろんなものを載せて食べます。右の写真は親戚から送られてきた家庭料理の写真です。平日のちょっとした集まりの時には、いつも生鮮市場から大きなカニを数匹買ってきて、客家料理のようなちょっとした炒め物をいくつか用意してお客さんに出します

 

 

 

日本に来てから3年以上が経ち、私は料理初心者から自称シェフ(笑)へと成長しました。広東料理にとどまらずあらゆる種類の料理を作ることが好きです。父はいつも新しい料理法を教えてくれて、レシピを書いたり、動画を撮って送ってくれたりしました。私の料理の腕が早く上達したのは、父のおかげです。

食は私の人生においてとても大事なことだし、食べることのできる広東人であることは、これほど幸せなことはありません。この記事を書いていたらお腹が空いて故郷が恋しくなってきました。さて、晩御飯を食べに行こうかな!

みなさんがこの記事を読んで、広東料理のことを好きになってくれたら嬉しいなと思います。

(原文)

  还记得在大学的时候,背井离乡到北方读大学,每当同学问起我是哪里人的时候,我都会十分自豪的说「我来自广东」。

虽然来自广东这个事实,只要听一下我说的粤语还有普通话发音就能马上知道(笑)。

能出生在广东,我真的觉得是一件很幸福的事。

  我出生于广东顺德大良,是一个美食之都。说到顺德大良,就不得不说起双皮奶。还记得小学的时候,我的爸爸常常会在周末开着小摩托车载我去清晖园附近很出名的甜品店,我坐在摩托车的前座,在爸爸的怀里,享受着风从脸上拂过感觉,阳光也刚刚好照在两人身上,十分温暖。我们带着期待吃甜品的心情,一路嘻嘻哈哈唱着儿歌,穿梭在树荫婆沙小路里。如今我还清晰的记得那份欢喜的心情。

  小时候对双皮奶并不是非常有兴趣,所以总会点双色雪糕(抹茶味,巧克力味或者香草味),而爸爸则会点红豆双皮奶,或者姜撞奶。在小时候我并不知道双皮奶非常出名,直到我上了大学,我才知道这是顺德的特产。

  现在来顺德旅游的话,一定会光顾「民信」这一家店。这家店的出名程度,就连平日都会排起长长的队伍,何况是周末了,简直是一席难求。

从上到下,左到右依次是:民信老铺店面,芒果椰汁西米露,绿豆汤圆,卤汁中鸡翅,芒果双皮奶

  关于小时候的记忆,就是每天的饭菜几乎是一样的(笑)。酱油蒸鲫鱼,蒜蓉生菜,以及可能一个月会有两次的可乐鸡翅。因为我对特别喜欢吃的东西会怎么样都不腻,正是因为这样,我的记忆可能出现了差错。

  家和学校就只有5分钟距离,以前放学后参加田径队训练结束了,就已经6点了,天都是半黑的状态。回家的路上种满了榕树,道路两旁的榕树长得很茂盛,连车子通过的道路上方都被覆盖的严严实实,如同一条天然的隧道。

  家家户户的光在天然的隧道中亮起,从房子飘出了不同的饭菜香味。因为爸爸妈妈总会在家做好饭菜等着,训练结束我就会马上奔跑回家。挂在书包上的钥匙叮当作响,车流声因为晚高峰而增多,这一系列的音乐组合,是我童年的一部分记忆。

  在2019年的冬天,曾回家过一次,但只是短短的待了2个星期。在圣诞节与元旦的气氛中,我与家人度过了一段美好的时间,当然,也吃了很多美味的食物!

  有很多朋友慕名来顺德,他们总会问我,顺德有什么好吃的餐厅。每当被问到这个问题,总是会让我思考很久。原因有两个,第一个,因为好吃的美食都是爸爸妈妈开车去的,在途中我总是会睡着,所以我根本不知道在哪里;第二个原因,是因为美食实在太多了!无论是出了名的酒楼酒家,或者是只有熟人之间才会知道的一些小农庄,都各有特色,没有办法比较。

  左上的第一张图片,我们虽然也叫它打边炉(南方火锅的叫法),但他并不是直接放在水里,而是在下面倒入烧开的水,并用水蒸气的高温使他变熟。

  第二张图是烧鸡,相信大家都有吃过。因为是在农庄吃的,所以使用的材料都很新鲜,它的口感内软外酥,鸡皮烤的刚刚好,一咬下去十分的脆和香,还混合着一种烧烤的独特的香味,难以言喻。

  第三张,则是蒸螃蟹,广东临海,所以常常能吃到新鲜的海鲜。

  第四张的名字我已经记不太清楚了,但是我印象十分清晰的事,这个锅非常大,有时候直径会达到40~50厘米,里面会放满海鲜,如图所示,贝类,虾,蟹等。有时候也会放入一整条鱼。他的做法很特别,虽然呈上来的时候就已经是几乎熟了的状态,但接下来,工作人员会盖上锅盖,并在锅盖旁临上一圈白酒(还是啤酒),用打火机点燃。等料理完全熟透后,就会有一股清淡的酒香味。

  顺德美食真的是种类繁多且惊艳,左上图的是鱼生,他和日本的刺身不一样的是,它使用的是淡水鱼,所以比较腥,吃不惯的人有很多。他一般会淋上花生油,加芝麻和花生,然后按照自己的喜好添加配菜。右图则是我亲戚发给我的一张家常图,在平日小聚时,他们总会在生鲜市场买上几只大螃蟹,炒上几个小炒,客家菜来招待客人。

  来日本已经3年多了,我从料理小白,进步成了大厨(假的),我喜欢做各种各样的饭,并不仅仅止于广东菜。我爸爸总是会教我新的做菜方法,他会写下菜谱或者录下视频发给我。我的厨艺能够进步的如此之快,也是多亏了他。

  下图是我来日后做的部分可以放出来的照片,大家猜猜看是什么!

  吃是我人生中非常重要的事情,作为一个能吃的广东人,就更幸福不过了。这篇文章写到这里,变得又饿又想家。是时候去吃个晚饭了!

  希望大家看到这篇流水账文章后,会越来越喜爱广东美食!

 

冯建晴