メンバーインタビュー〈倾盖如故〉:アナさん

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留学生アナさんにインタビュー

『茶話日和』の活動には、各国からの留学生や、東アジアの言語を学ぶ日本人学生を含め、多彩なバックグラウンドを持ったメンバーが参加しています。「倾盖如故」は、そんなメンバーについて皆さんに知ってもらうためにメンバー同士がお互いにインタビューするという企画です。

今回はAnaさんにお話を聞きました。

(インタビュアー・執筆者:おまめ)


——大学/所属/学年は?

東京大学大学院経済学研究科修士1年

——出身はどこですか?ずっとそこだったんですか?

生まれは内モンゴル自治区省都フフホト市で、育ちは広州です!父の仕事の都合で引っ越しました。

——ちなみに、内モンゴル自治区といっても、Anaさんがいらしたのは都会だったので景色は広州とそんなに変わらなかったそう。Anaさんの感じた、内モンゴルと広州の大きな違いは天気と飲食だそうです!この事についてはまた別の企画で記事がでます!お楽しみに〜!

——大学で学んでいることは何ですか?また、専門を選んだ理由やきっかけがあれば教えてください!

今現在学んでいるのは経営学(マネジメント)です。
中国にいた頃通っていた大学では日本語を専門にしていました。その大学では2年間の交換留学プログラムが用意されていて、それを利用して東京の大学に行きました!経営学は日本に来てから学び始めたのですが、とても面白く感じたので修士でも経営学を学ぼうと思いました!

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写真(Anaさん提供): 中国にいた頃通ったキャンパスの様子

——趣味や好きなことは何ですか?

ピアノを小さい頃から習っていて、最近はドビュッシーの「月の光」を弾いています!中学までは学校の合唱サークルで伴奏を担当していました!合唱サークルにいた頃一番心に残った曲は、「牧歌」です!アカペラで歌う曲で、自然の中にいるような感じがします。
本を読むことも好きで、特にSFを読みます。おすすめは、劉慈欣の『三体』!世界観がすごいです!人間の個人個人からの視点ではなく、何十万年もまたがるようなストーリーの書き方をしていて、作品を読んだ後は、自分が宇宙の中の埃のように感じます……。

——Anaさんは宇宙や自然が好きなのですね。優しいお人柄が伝わってきます……。そんな優しいAnaさんに影響を与えた人・尊敬する人は誰ですか?

身近でない人で尊敬する人はマイケル・ジャクソンです!世界や子供をテーマとする曲が多くて、優しい人だなぁと思いました。自分もそんな優しい人になりたいと思っていて、そういう意味で影響を受けた人だと言えます。
ダンスでも音楽でもあんなレベルのパフォーマンスができるという事は、何百回何千回と完璧を目指して練習しているはずなのに、インタビューでは練習が辛かったとか大変だったなんて一切口に出さないのがすごいなと思いました。そういう所で力をもらいました!
ちなみに、最近ハマっているマイケルの曲は「Off the Wall」です!

——今までで一番好きな授業は?

毎週土曜日に参加した北京地質大学のロッククライミングの授業はすごく楽しかったです!ロッククライミングはやったことがなかったので、初心者向けの授業をとりました。

——好きな日本語はなんですか?

日本語の先生に教わった、「芸ごとのコツというものは、師匠から教えてもらうものではない。盗むものだ」という言葉です。授業だけ受けて宿題だけやっても上達までは遠く、習った表現を自分の言葉として使うようにしないと身につかないと思いました。

——日本語を学び始めたきっかけは何ですか?

高校の時、『四畳半神話体系』というアニメをみて面白いと感じた事です!
ちなみに、中国にいた頃通っていた大学に、今のパートナーが日本から留学に来ていて、中国人学生向けの日本語の授業でチューターとして働いていました。彼も『四畳半神話体系』が好きで、近くのカフェであったその上映会を見に行こうと誘ったのが仲良くなったきっかけでした。

——『四畳半神話体系』は京都が舞台ですが、京都に行こうとは思わなかったのですか?なぜ東京に?

大学一年生の時『君の名は』を観てしまい、そっちに勝てませんでした(笑)!

——日本に住んでいて不便に感じることなどはありますか?

外国人が日本で生活する時、一番大きな敵は「自分」。孤独との戦いです。日本人ではないので、何年日本語を勉強してもわからない言葉はあります。
また、最近オリンピックをやっていましたが、テレビでやっているのは日本の試合ばかりで、中国の試合を観るには中国のチャンネルにしないといけませんでした。そういう瞬間に孤独を感じました。でもそれ以外では、日本は住みやすい国だなと思います。

——日本に対する印象の変化や、日本に来て驚いたことはありますか?

あんまり印象と違う所はなくて、変わったのは多分自分の考え方かもしれないです。
最初に東京に来た瞬間、「自分ダサい!」と思いました(笑)!東京人はみんなオシャレで、女の子たちがみんなお化粧をしてオシャレな服を着ていて、その中にいて「ああ、恥ずかしい……」と思ってしまいました。でも、今は「みんながみんなで可愛くて良い!私も負けてない!」という考え方になりました!

——考えが変わって良かったです!Anaさんはとってもチャーミングなので、そんな悩みがあった時があるとは意外でした!ところで、なぜこの活動に参加したのですか?

中国のWeChatのグループにこの活動の情報が流れていました。コロナ禍で授業が全部オンラインだったから日本人学生と知り合うチャンスが少なさ過ぎて、もっと日本の友達を作るきっかけになるかなと思ってこの活動に参加しました。

——では、この活動を通して読者に何を伝えたいですか?

アジア人って顔は似ていると思いますけど、文化の違いによって考え方とかが違う事が多い気がします。予想外のことがあったときに、最初からその人自身のことを悪く考えるよりも、相手の方がその事を失礼だと捉えていないんじゃないかと考えれば、中国人でも日本人でも何人でももっと仲良くなれるのでは、と思います!
例えば、中国で人の家にお邪魔した時、残さずに食べると「(ご飯の量が)足りないんじゃないか?」と思われちゃうかもしれなかったりします。残すことで、「もう食べられない(程お腹いっぱい食べさせてもらいました)!」と意思表示ができるのです。

 ——文化の相互理解はとても大事ですよね。茶話日和の記事を通して、相互理解をどんどん促進していけたらなぁ、と私も思います!ところで、Anaさんの少女時代はどんな感じでしたか?

地味な、勉強ばっかりの少女時代でした(笑)!中学校は勉強がヨユーだったので、広州で3番4番くらいの高校に入りました!一学年1200人くらい、二十何クラスある、デカイ学校でした。高校に入ってからは本とか映画ばかりみてまったりと過ごしていたのですが、二年生になってから、「このままでは大学入れない!」と思って頑張りはじめました。高校時代は本当にずっと勉強していた気がします。結局真面目です!

 

博物館
写真(Anaさん提供): Anaさんが通われた高校の歴史博物館。卒業式の時だけ入れる。

第一次模擬試験はまだ全然ダメだったのですが、高考の半年前にあった第二次模擬試験では大きな進歩がありました。理系のクラスの約1000人600位から200位まで上がって、担任の先生からみんなの前で表彰されました!それがすごく自信につながりました!

——本当に真面目なんですね!頭が下がります……。ちなみに、高考とは中国の大学入試のことです!全国で一斉に行われる統一試験であり、中国ではこの一回の試験の順位で入学できる大学が決まります!by 中国通のメンバー

——そんな真面目なAnaさんの、小さい頃の夢は何ですか?

作家になるのが夢でしたが、すみません、全然書いてないです(笑)!今は作家になる夢は持っていなくて、普通の日常生活を元気に送れればいいかなと思っています。

——まだまだ間に合います!是非是非作品を書いていただきたいです(笑)!では、これから、大学で学んだことをどう活かしていきたいですか?

まず日本で就職して、何年か働きます。転職の時期になったら、中国に帰るか、また日本で違う職業に就く事を考えるかもしれないです!
今学んでいることは、大企業の経営理論に関する知識が多いんですけど、それを就職の時に行かせたらいいなと今の段階では思っています。また、もし独立とか起業とかするなら、経営学の知識だけをいきなり活用することはできないと思います。学術と実務には距離があるので、学んだ知識をそのまま使うのではなく、勉強を通して鍛えたロジックを活用できたらいいな、と思っています!

——最後に、将来、日本とどう関わっていきたいですか?

中国に帰っても日系企業で働いたり、日本人のパートナーや日本で知り合った友達たちと連絡を取り合ったりして日本とのつながりを大切にしていきたいです。また、中国の知り合いで日本に行きたがっている人には、日本の文化などを伝えていますし、これからもそうしていきたいと思っています。
以前一度、中国にいた時通った高校にパートナーと行って、夏休みに2日間日本に関する授業をしました!それは学校の先生に頼まれたからとかではなく、卒業生が企画できる制度を使って、自分から授業を提案しました。日本の就職面接はどんな感じで行うかを実演したら、中国の学生は「ほんとにお辞儀するんだ!」と驚いていました。中国ではあまりお辞儀しないので。あと、中国の大企業の多くはインターネット企業で、私服で仕事場に行くのが普通なので、日本ではみんなスーツを着ると知って学生は驚いていました。「暑そう!」みたいな(笑)!

——面白い授業ですね!こんな授業を中国全土で行っていただきたいです!興味深いお話をたくさん聞かせてくださり、ありがとうございました!

写真(Anaさん提供): 母校での出前授業の様子

おまめ