新しい形のアーティストを目指して〜生き方の発信という新しい姿〜

人を知る

自身の魂を形にする芸術活動、音楽や海外や彫刻をはじめ様々な表現方法があります。自身の世界観中で作品を育むのが従来の芸術家-アーティストとすると、今回取材させていただいた池田真優さんの芸術活動は、従来の枠組みを大きく超えつつあるようです。東アジアの若手アーティストとして、ワールドクリエイターアワードを先日受賞されたばかりの今、自身の現代アーティストとしての生き様を語っていただきました。

従来の創作にとらわれない発想

筆者:お忙しいところ今回はお時間ありがとうございます。以前中国でお会いしましたが、日本で池田さんはますます活躍されているようですね。

池田さん:こちらこそ、インタビューの機会ありがとうございます。はい、デジタルアートでの創作活動のみならず、日経新聞でも新しい時代のリーダーとしてコラムを掲載の掲載をはじめ、日本の魅力を海外に発信する活動も開始させていただきました。

筆者:池田さんの現代アーティストとしての活動ですが、元々アーティストを目指されたきっかけは何でしょうか?

池田さん:小学生の頃の原体験です。元々私は企画するのが好きで、文化祭の出し物等も企画運営するのが大好きでした。そのころから人を驚かせることや、感動させるのが好きだったのでしょうね。

筆者:一般的にはアーティストになるには、美術大学や音楽学校で学ぶことが多いですよね?

池田さん:そうです、ですが私は専門的に学んできたわけではなく、独学で創作活動を始めました。高校までは普通教育でその後受験予備校に籍を置いていました。受験を控えているという環境下に自分が置かれた一方で、本当に自身が歩みたい道を再度考えるきっかけとなりました。その結果、今とは違う自分を表現したいという思いから、初めての創作活動に打ち込みました。

筆者:「100万いいね」を獲得した、デジタルアート作品はそこから生まれたのですね?

池田さん:その通りです。自身の作品を発表する場所としてFacebook を中心とするSNSを選んできましたが、作品の反響には驚きました。この作品はスマホ操作だけで創り上げた作品ですが、私がデジタルアートの道を歩むきっかけにもなりました。筆やキャンパスなどの画材で創り上げることを考えましたが、現代社会ではスマホが一番身近にあります。デジタルアートはある意味、現代社会に身近な創作品なのかもしれません。

大きな反響を呼び込んだ作品。創作の方向性を決定づけた作品の一つ。

広がる活動の幅

筆者:デジタルアート創作活動とどまらずずいぶんと幅広い領域で今も活躍されていますね。

どのような活動をされてきたか、教えていただけないでしょうか?

池田さん:2018年には日経新聞の電子版に連載を持たせていただきました。連載内容としては芸術とデジタル社会の融合や、現代芸術の在り方についてです。アートにおいても東京の神代植物公園でのナイトアートの演出や、埼玉県の映像美術館でプロジェクトマッピングをお手伝いさせていただきました。

プロジェクションマッピングの展示の様子。本人より提供

筆者:活動内容を広げる理由はなぜでしょうか?

池田さん:その理由は「アーティストとは時代を導くべき存在」だと、私が信じているからです。世界には様々なアーティストや創作者がいますが、創作活動に専念するために社会とのつながりが薄くなってしまった方もいます。

もちろん素晴らしい作品創りは必要不可欠といえますが、アーティストには政治家にも企業家にもできない時代を導いていける能力があります。作品を通じてメッセージを社会に発信できる能力です。

社会にメッセージを届ける試みとしての日経新聞での活動。前列左から2番目が池田さん。

筆者:なるほど、アーティストはより社会とつながるべき、より意見を発信すべきと考えているのですね。

池田さん:例えば巨匠であるピカソの作品、「ゲルニカ」が評価される理由は、ゲルニカを通じて世にメッセージが波及したからです。だからこそ作品は世界になお残すことが出来ました。また様々な創作活動やプロジェクトに参画することは、私自身のアーティストとしての幅を広げることにもつながると信じています。

 

日本の魅力を、東アジアへ世界へと伝える

 

筆者:そういった中で今回のワールドクリエイターアワード(略称アワード)は、池田さんの活動が評価された形といえますね。今回の受賞とその背景について教えていただけないでしょうか?

池田さん:ありがとうございます。今回のアワードは韓国の GISTAR21 STUDIOとHR
ワールドスタークリエイター協会が主催で、東アジアを中心とした6か国から社会に貢献したクリエイターへ受賞という背景です。中国でもテンセントグループを通じて授賞式がストリーミング配信されました。

東アジアを中心に展開されたアワード

 

筆者:韓国が主催ですが、池田さんが韓国のコンテンツ輸出戦略にも注目されているのですか?

池田さん:韓国のコンテンツは分野を問わず、最初から海外マーケットを第一に入れて捜索している印象を受けますね。今回のアワードも本来は韓国での授賞式が予定されていましたが、日本をはじめとする各国での中継開催へ切り替えが非常に早く行われました。スピード感には大きく驚かされましたね。

筆者:日本のアーティストとして、創作環境の違いに驚かれたということですか?

池田さん:はい、日本のアーティストたちにとっても海外から学ぶ機会は重要だと感じていますね。ですが忘れてはいけないのが、日本には海外に魅力を発信すべき隠れたアートが眠っているということです。

池田さん:今回のアワードでは、私は現代風にアレンジした和服を着用しております。また身に着けたティアラも日本の木工細工匠の方たちと一緒に創り上げてきた作品です。

アワードの装いも、日本の伝統文化を発信する試みの一つだった

池田さん:従来の日本のアートはどうしても大企業や大資本によるプロモーションが必須でした。都心が発信の中心ですが、地方にはまだまだ評価されるべきアートがたくさんあります。アワードという場をお借りして、また今後もアーティストとして日本の美を世界へ広げるお手伝いをさせていただきたいですね。

 

現代アーティストとして幅広い活動活躍を見せる池田さん。今後の東アジアを超えた創作は、注目していきたいですね。

【インタビュアープロフィール】

池田真優/1994年生まれ/

FBのオフィシャルページの絵画投稿で100万人いいねを獲得/日本経済新聞から新しい時代のリーダーに最年少選出/韓国主催WORLD CREATOR AWARDSで2022年に大賞受賞

加藤 勇樹