なぜ「ホスピタリティ」なのかー小林寛和さんインタビュー

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東松原駅周辺の静かな韓国料理店「オネヨ」で偶然出会った小林寛和(韓国名:キム·グァンジョン)さん。特別な風格を放つ彼は、30年前に韓国から留学し、現在は「ケーホス」という新聞営業会社を経営しているという。私たちがインタビューを依頼すると、小林さんは快く承諾してくださった。

インタビューの間、いつも笑顔でお話を聞かせてくださった小林さん

まず、20世紀から日本で続いた小林さんのライフストーリーを聞いてみよう。

日本に来られた理由と、今されていることについてお話しください。

「私は韓国出身で、大学では行政学を勉強しました。兵役を終えてからは1993年にサービスを勉強したくて日本に留学に来ました。日本は思いやり文化、相手を考える文化などの部分でサービスを勉強するのに最適な国だと思ったからです。勉強を終えた後は朝日新聞の営業会社に就職し、5年後に本部長になりました。35歳のときに「ケーホス」という会社を設立し、それ以来朝日新聞の営業の分野ではずっと日本一です。朝日新聞で「小林」という名を知らない人はいません。」

 

ーホスという会社は主にどんな業務をしていますか?

「今の時代は紙ではなくてウェブ、インターネット、SNSになっています 。しかし、インターネットやSNSに流れている情報は森のようにその量が多すぎます。大きな森の中には腐った木もあるものです。我々の素人はその木(情報)が腐っているかどうか分からないです。嘘も真実になってしまう時代です。それで私たちは正確な情報が整理整頓された新聞をお客様に提供することを仕事として行なっています。」

 

ーホスという会社名はどんな意味を持っていますか?

「ケーホスは「小林ホスピタリティ」という意味です。「ケー」は「KOREA」の「K」、「KIM」の「K」などの意味も含んでいます。ここで「ホスピタリティ」は接待、思いやりの意味で、サービスの基本になります。単純に契約をとれば終わるのではありません。顧客を大事にし、相手の立場に立って考えて営業をしています。そうすると、なぜか私のファンが増えてしまいます。私と働きたいと思う人が増えてしまうのです。それで必然的にも日本一になれたと思います。

 

日本にずっと住むようになったきっかけがありますか?

「日本に来る以前は日本に憧れがありました。しかし、日本に来て少しの差別と違和感を覚えました。日本に来て半年くらいたって、ここは私の居場所ではないと感じはじめました。しかし、当時親しかった日本人の先生から「今日本に帰ったら二度と日本には来ないだろう」と言われて刺激を受けたりもしました。ここで失敗すると韓国の恥だと考えました。また、ほんとにしっかりやらないと、この国で生きていられないと思うようになりました。日本人が5時間働くなら、私は10時間働くという意志を持つようになりました。」

また、小林さんは長い間休まずに仕事ができた秘訣として「運動」を挙げた。

マラソン大会に参加した小林さんの写真(小林さん提供)

「体が健康であれば、精神にも良いです。私は経営者なので、風邪でもひいたり体調が悪くなったりしないようにしなければありません。そのため、体の管理をしっかりにしないといけません。私は同じジムで20年間一回も休まず通い続けています。3年前にはフルマラソンに挑戦したりもしました。みんなは運動した後は疲れたりすると言いますが、私はむしろとてもすっきりします。体が健康なので、いつも仕事の約束を守ることができたと思います。」

日本人ばかりの新聞営業業界で、長年トップを走り続けている小林さん。日本人ほど日本に長く住んでいた彼だが、韓国人としてのアイデンティティが多く残っているという。小林さんは日本をどう理解しているのだろうか?

「私は30年間日本で生活していますが、まだ日本についてよくわかっていないと思います。私が初めて日本に来た当時は日本と韓国間の文化交流は活発ではありませんでした。在日韓国人が自分の国籍が韓国であることを明らかにしないことも多かったです。韓国と日本の関係は1998年、小渕·金大中宣言を起点に良くなったと思います。しかし、2018年文在寅政権当時、韓国ではNO JAPAN運動(日本製品を購入しないことで日本の貿易制裁に抗議する運動)の拡散などにより、反日感情が韓国で再び悪化しました。」

「現在の尹錫悦大統領は日本との良好な関係を維持していますが、逆に前回の大統領選挙で他の候補が当選していたら日韓関係は現在と全く逆だったと思います。これは一つの政党が長い間政権を握っている日本の政治文化とは違い、韓国は民族主義的性格が強い政権と国際関係を重視する政権が交互に政権を握っているからだと思います。このように、日韓関係は政権交代によって変化し続けてきたと思います。」

小林さんは日本と韓国の関係においても「ホスピタリティの精神」を強調した。

「日本と韓国の間には、植民地支配、日本軍慰安婦などの歴史的問題があります。相手について話す前にまず、相手を理解する必要があります。たとえば、韓国人はなぜ靖国神社の存在に対して怒っているのかという質問に答えるためには、お互いについて勉強しなければならないと思います。サービスと同様に、歴史の問題においてもホスピタリティが重要だと思います。」

 

最後に、日本に住んでいる外国人留学生に先輩として助言があればお願いします。

「いっぱい遊んで欲しいです。日本人と一緒でもいいし、友達がいなくてもいいです。外に出て神社や山に乗って遊んでみてください!」

1時間余りの短いインタビューで彼が30年間韓国人として日本で見て経験した多様な経験を全て理解することは難しいかもしれない。しかし、日本でのライフストーリーから日韓関係まで多様な話を聞きながら私たちは新しい見解と見解を得ることができた。小林さんはインタビューの間、相手の文化や思想を理解し、配慮する「ホスピタリティ」を強調してきた。もしかすると、ホスピタリティの精神こそ茶話日和にとって最も必要なモットーではないか。

お忙しい中、場所を提供してくださった韓国料理店「オネヨ」とインタビューに応じてくださった小林さんにお礼を申し上げます。

インタビュア-:石塚 大智、河野 萌依、クク ウォンヒョン

文責:クク ウォンヒョン

場所提供:「オネヨ」

考記事:http://yutacafenotsudoi.web.fc2.com/column1-2.html

クク ウォンヒョン