皆さんは、大学生のサークル活動と言えば何が思いつきますか?
テニス?バドミントン?バレーボール?茶道?英会話?
きっと入学する時、迷いに迷ったことだろうと思います。
そんな中でも「農業×地域おこし」を掲げるサークルがある事をご存じでしょうか?
それが東大むら塾です。それなりに知名度があり「農業っぽいことをしてる?」と思っている人がほとんどでしょう。とはいえ、リアルな姿は分からないと思います。
という訳で、今回は東大むら塾さんを追いかけて千葉県・富津市におじゃましました!
〇東大むら塾って何してるの?
千葉県富津市は千葉の南側にある街で、東京から車で1時間半ほど行った所にあります。
アクアラインが開通しているとはいえ、正直に言えば田舎。そもそも富津に活動拠点があるサークルの存在自体に驚きです。
今回は執行代の皆さんや前代表の松田さんに案内していただきました。
-むら塾は千葉県で何をしているんですか?
「『農業×地域おこしで村の未来を変える』というコンセプトに沿ってはいるのですが、田んぼもあるし畑もあるし、外からみた印象と変わらず畑仕事ですね。他には、富津のマルシェで育てた野菜を売ったり、お寺で地域の子どもに学習支援をしたり、ということもしています」
-地域おこしというよりは農作業がメインの活動なんだ。何を育てているんです?
「この前(8月)にはお米の収穫をしました。これからは小麦の種まきです。土地の広さは1反から3反(※)ぐらいかな。他にもいろいろな野菜も育てています」
※反(たん)は面積の単位。1反は約10aで学校の体育館ほどの大きさ。
-この広さと種類の多さ、家庭菜園レベルじゃないですね。これだけ本格的な農業、自分たちだけで出来るものなんでしょうか。
「この辺り(富津市・相川地区)に住んでいる方から土地を貸してもらっていて、育て方など全部教えてもらっています」
-そしてこれだけ本格的だと、収穫したお米や野菜も結構な量になりません?
「富津のマルシェや東大の駒場祭、五月祭では私たちが育てたものを販売しています。最近だと、地元のブルワリーに依頼してホップからビールを作ってもらいました。今日は千葉のフェリーターミナルでそのビールを売っていますね。直近でいえば葛飾のお祭りでお米の販売をする予定です」
(このイベントは終了済み。お米やビールは本郷キャンパスでも買えるとのこと。)
〇活動に参加してみると…
この日は午後からの活動を見学させて頂けることに。
活動拠点に行ってみると、予想以上のガチ感が漂って来ました。
-これ、何ですか?
「草刈り機です」
-え、これを自分たちで使うんですか?
「そうですよ。今日の活動は田んぼ周りの草刈りなんで」
-この田んぼ、むら塾が管理してるんですか?
「そうですよ。借りた土地ですけどね。週1回のペースで管理しに来ています」
-すげぇ…僕らと同じ大学生がやれるもんなんですね…
ガチの農機具とガチの田んぼが登場し、度肝を抜かれました。東京生活の片手間ではなく、真剣に農業と向き合う様子が伺えます。今日の作業内容は農地周辺の草刈りと竹の片付けとのこと竹は収穫した稲を干すためのものらしく、ここでも本格さがにじみ出ます。
サークルの取材に来たはずが、農家さんを訪問した気分になってしまいました。
お米や野菜の生産から販売まで、農業を真剣に行っているむら塾に脱帽です。
とはいえ、本格的な農作業が出来るのも富津に住む方のおかげのようです。
地域との繋がりを重視し、遠い先は「地域おこし」まで見据えている東大むら塾。
壮大なテーマのようですが、一体どのような将来を見据えているのでしょうか。
〇東大むら塾が目指す「農業×地域おこし」とは?
-東大むら塾は「農業×地域おこし」を掲げています。今は他の拠点も含めて3つの地域で活動しているようですが、地域おこし自体はかなりハードルの高い印象を受けます。農業で地方を活性化しようとするのは難しいのではないでしょうか。
「僕たちも大学生ですから、大きい規模の地域おこしは難しいという話になりました。とはいえ大学生は若くてエネルギッシュじゃないですか。少子高齢化が進んでいる場所ではなおさらです。地域と深く繋がっていく中で大学生と交流する機会が増え、そこで地域の人が刺激をもらって新しいことを始めてもらったりしてもらえたらいいかなと。最終的には地域の人同士がむら塾を介して繋がっていけるような場所を作りたいです。そこが地域おこしに向けたはじめの一歩ですよね」
-お金儲けや富津の存在感を高める活動ではなく、地域と密なコミュニケーションを取ることを通して地域にいい影響を与える将来を見ているのですね。
「毎週富津にレンタカーで来ていて、そういう意味ではしっかりとした関係人口(※)ではありますよね。現状として、むら塾は地域の方と一緒に農作業をしたり、イベントにも顔を出しています。つい最近では富津市長さんが稲刈りに来てくださいました。地域に馴染んできていて、知名度も上がっています。地域の人と人を繋ぐ中心になるには時間がかかりますが、活動は順調です」
※関係人口とは…移住でも観光でもない形で地域に関わる人を指す言葉。多様な形態でその地域との交流を持つ。
-今後はどのような方向性で「農業×地域おこし」を進めていくんですか?
「近々の話では、東京大学以外の学生も巻き込んで、地域おこしプランのコンテストを開きます。今後も農業を中心に、もっと深く相川地区の方と繋がっていき、最終的には地域のハブとなっていきたいと考えています」
農業と真剣に向き合う大学生の姿に驚かされただけでなく、決してお金儲けや存在感向上に頼らない草の根地域おこしのあり方に感心させられたインタビューでした。
この記事で興味を持った方は是非東大むら塾にコンタクトを取ってみてください。
また、東大生協、ふるさと納税や各種イベントで彼らが育てたお米やお野菜、ビールを購入することが出来ます。SNS要チェックです!
【取材協力】東大むら塾
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