今回、我々が訪ねたのは、JR西荻窪駅から徒歩8分、小さなお店が軒を連ねる通りにある「sweetolive 金木犀茶店」さんです。
こちらは、来日して9年になる中国人の王さん李さんご夫婦が切り盛りされているカフェです。一階には月替りで作家さんの作品を展示・販売するギャラリーとスイーツのテイクアウトコーナーが、二階には独創的なパフェと中国茶を頂けるカフェがあります。
普段はインタビューを受けていないとのことですが、今回は特別に老板(オーナー)でご主人の王康鵬さんにお話を伺うことができました。
〜目を惹くパフェについて〜
11月に食べた「林檎の物語パフェ」カレーアイスにヨーグルトアイス、ライチ紅茶と芋のモンブラン、白桃烏龍の林檎煮、カレーと棗のグラノーラなどなど、食べたことのない味の組み合わせとその美味しさに感動しました!繊細で品があって、目にも舌にも楽しくて、大事にじっくり味わって食べたくなる、そんなパフェでした!
パフェはとても独特ですね。インスピレーションはどこから来るのでしょうか?
—「パフェは主に奥さんが考えていますが、中国のお茶文化やスイーツ文化を日本の人々に伝えることをコンセプトとしています。中国の文化と日本の文化を融合させるようにもしています。」
中国のお茶文化とは、どのようなものなのでしょうか?
—「中国の中でも、特に南方はお茶を飲む文化が盛んです。休日など、朝ご飯を食べた後にカフェに行き、そこで2〜3時間お茶を飲みます。そしてまたお昼ご飯を食べて…ずっと食べてる感じですね(笑)。ご飯お茶ご飯お茶…日本の茶道のように堅い決まりはなく、もっとフランクな感じです。お茶そのものを楽しむのもそうですが、『醉翁之意不在酒(醉翁の意は酒にあらず)』お茶を通じた人と人とのコミュニケーションを大切にしています。」
パフェだけでなく、カフェの雰囲気も素敵ですね。
—「それも日本のインテリアデザインの専門学校で学んだ知識が役に立っているのかもしれません。もともと建築も好きです。インテリアの知識がお店の内装やユニークなパフェに少なからず影響しているのかもしれません。」
ギャラリーに展示をおこなう作家さんとはどのように知りあわれるのですか?
—「奥さんと2人で探します。いいなと思った作家さんがいらっしゃれば、こちらからお声をかけています。2階のカフェでは、作家さんのお皿を実際にお客さんに使っていただいてます。そうすることで、お客様にとっていい経験になるのではないでしょうか。」
〜王さんの生い立ち〜
ご出身はどちらですか?
—「上海です。大学は上海の大学です。」
日本に興味をもったきっかけは何だったのでしょうか?
—「日本の映画や小説に興味をもったという感じでしょうか。」
小さな頃からお茶を飲む文化はありましたか?
—「ええ、両親や祖父母がよくお茶を飲んでいたので自然と飲むようになりました。ただ、最近の若い人は、あまりその文化をもっていないかもしれません。中国南方の工夫茶(コンフー茶)みたいな、お茶を片手にコミュニケーションする文化が良いなと思って、その中国茶をちょっと違う形で皆さんに出したいと思ってやっています」
来日されたきっかけは何でしたか?
—「外に出てみようと思い、また日本のいろんな文化に興味をもっていたため、日本に留学しました。」
〜カフェ開店までの道のりとコロナウイルス〜
カフェを開店するにあたって、西荻窪を選ばれたのはなぜでしょうか?
—「以前、勤めていた仕事も西荻窪でしたのでなじみもありました。また、西荻窪の自由で和やかな雰囲気がカフェの雰囲気と一致していると感じました。
今日これを作らなきゃいけない、と決まってるのではなくて、自分のやりたいことを中心にしてやっていて、ケーキもその日に作りたいと思ったものをお店に出しています。西荻のお店はそういう独自のお店が多いなと思います」
たしかに、西荻窪はこじんまりとしたお店が多い印象ですね。近所の方も多くいらっしゃいますか?
—「そうですね、近所の方が寄りやすい雰囲気にしています。私(=王さん)が近所のお店に食べに行くことも多いですよ。交流が多い点は、西荻窪らしいですね。パフェを食べに遠方からいらっしゃる方もいらっしゃって、ありがたいです。」
カフェは2019年に開店されたとお聞きしていますが、コロナウイルスの影響はありましたか?
—「ありました。コロナウイルスが流行し始めてすぐは臨時休業していました。しばらくの間は、自転車で近所の方にケーキの配達をおこなっていましたね。その後、再開しました。お店を開くと、それまで配達で注文していたお客さんが実際にお店に足を運んでくださるようになりました。」
地域に密着した感じが西荻らしいですね。今後はカフェをどのようにしていきたいですか?展望をお聞かせください。
—「カフェでは、中国のお茶文化をパフェや中国茶を通じて日本のみなさんに伝えていきたいです。ギャラリーでは、作家さんの独自性を活かしつつコラボレーションしていきたいです。」
最後にお聞きします。李さんにとって、中国茶とはどのような存在ですか?
―「やはり、お茶は人と人とを結びつける力をもっています。コミュニケーションツールのひとつですね。また、お茶そのものやスイーツは人をリラックスさせるものです。
本当に辛いときに美味しいものを食べてリラックスする。
日本はコーヒーが人気ですよね。僕も日本に来てからコーヒー好きになって、本当に良い文化だなと思いました。中国茶もそんな感じで親しみを持ってもらえたら良いなと思います。」
〜インタビューを終えて〜
王さんは、とても丁寧な方で今回のインタビューは穏やかに進みました。この記事にもその人柄や生い立ちがとてもにじみ出ているとおもいます。特に、お茶文化への熱いおもいと、お茶が人と人とを結びつけるという確信を感じました。
この記事だけでは、金木犀茶店のすてきな雰囲気のすべてを読者のみなさまに感じ取っていただくのは難しいと思いますので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。
sweetolive 金木犀茶店
住所
〒167-0053 東京都杉並区西荻南2丁目5-6
公式Instagram https://www.instagram.com/sweetolive_nishiogi/
※カフェのご利用は完全予約制です。